機能性分子プローブと薄層クロマトグラフィー(TLC)を組み合わせることにより、組織の位置情報と紐付けた生体分子分布解析の実現に向け、力を注いでいます。多成分の生体分子解析や、3次元における分子分布イメージングを目指しています。

組織は部位ごとに固有の機能を発現することが知られています。そのため、空間情報と紐付けた生体分子解析の重要性が増しています。この傾向は、空間トランスクリプトーム解析の技術革新からも明らかです。

この背景から、私たちは生命現象をより直接的に反映する生体分子である代謝物をはじめとする小分子に着目し、研究を進めています。具体的には、組織内の代謝物を簡便に解析できる薄層クロマトグラフィー (TLC) トレーシング技術の開発に取り組んでいます。

本手法では、まず解析対象分子に対するラベル化剤を塗布したTLCを準備します。次に、凍結組織切片を機能化TLCに貼付します。この過程で、組織切片内の解析対象分子がTLCへ移行し、その場でラベル化剤と反応します。生成物由来のシグナルを測定することで、組織内の解析対象分子の分布がTLC上に描出されます。これまでに、グルタチオンの検出に成功しており、今後は本手法をさらに発展させ、多様な分子種への応用を目指しています。

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2024年-2025年 公益財団法人アステラス病態代謝研究会

2023年度研究助成

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2023年-2025年 科研費基盤研究 (C)